悲しいこと、でも前へ前進
本日は、開設6カ月目にして、私どもニパータを選んで頂き、約2年2カ月でしたがご利用いただきましたA様の件をブログを通してお伝えしたいと思います。7月28日(日曜日)この日は私の誕生日であり、私にとって、そしてニパータにとって悲しい一日となりました。
この日の午前中、全く予期もせず、いつも通り電話が鳴ったので、「もしもし・・・。」と電話をとりました。「お母さんが突然亡くなってしまった。」とご主人から震えた声で、そして慌てたご様子で。私も一瞬それが何のことなのか戸惑うほど信じがたい話で、その時は現実が受け止められませんでした。それ以上に、A様のご主人は、大変なこのときに、必死で電話をかけて頂きました。
このA様は、若くして失語症になり、次いで認知証も伴い、当時他の施設もご利用されたとのことでしたが、ご本人も紙に「行きたくない」と書かれたことで施設を探しており、ある居宅様を通じ、まだオープン間もない私どもにご紹介を頂きました。当時、A様が本当に満足して頂けるか、また「行きたくない」と筆談にてご主人様に書かれてしまうのかとスタッフ一同不安の中、サービスを提供していたことを思い出します。しかし、そのような状況の中でも、ご主人は常にA様のことを思い献身的な介護をしており、本当に愛しておられるのだなと常に私どもが感心させられてしまうほどであり、そのことが常にサービスを提供させて頂いている我々に勇気を与えて頂いておりました。
日に日にA様は私たちに心を開いて頂き、私たちスタッフがお迎えに行くと、笑顔で出迎えて頂き、そして、他のお客様からも言葉は話せないものの「Nちゃん、おはよう」「Nちゃん元気かい」と会話を交わされ、すると必ず手を振り満面の笑顔で応えて頂きました。お互い他人同士ですが、利用中は家族そのものでした。それだけに、現在もまだいつもご利用して頂いているようで亡くなられたことが信じられません。
ご家族から、亡くなられた翌日に「お母さんの葬儀になる前に、いま本当にいい顔で眠っているようなので、会いに来てほしい」と電話を頂きました。スタッフに声をかけると、普段なかなかすれ違いの勤務のため、集まることができないのですが、一言返事でお邪魔させて頂きました。はじめて、お身内の方にもお会いでき、今までお渡ししていたご本人様ためだけの個人新聞をとじていて頂き、ニパータで撮った写真もアルバムに収めて頂き、悲しみながらお話しいただき本当に感謝と感動に包まれた時間を過ごさせて頂きました。
私たちスタッフも普段なかなか聞くことのできないお客様から生の 「ありがとう」の感謝の言葉を聞くことができ、改めて身の引き締まる思いが体験できたことに感謝しております。
心からの「ありがとう」 大事な言葉ですね。今後もこの言葉を胸にニパータスタッフ全員が慢心して参ります。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。